食物アレルギー

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、特定の食品を摂取した際に、身体の免疫システムが過剰に反応することで引き起こされるアレルギー反応です。通常は無害な食品成分に対して免疫システムが異物（アレルゲン）と認識し、攻撃することでさまざまな症状が現れます。花粉症や喘息と同様にアレルギー疾患の一種とされています。

食物アレルギーは、乳幼児から高齢者まで、どの年齢層でも発症する可能性があります。特に乳幼児期に発症することが多く、成長と共に治癒することもありますが、成人後も食べた際に症状が出る状態が続くこともあります。また、食物アレルギーを持つ方は複数種類の食物アレルギーを持っていることもしばしばあります。近年、食物アレルギーの患者数は増加傾向にあり、社会的な問題となっています。

食物アレルギーは、アナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状を引き起こす可能性があり、生命に関わる場合もあります。そのため、食物アレルギーを正しく理解し、適切な予防と対処法を知ることが重要です。

食物アレルギーの原因となる食品

食物アレルギーの原因となる食品はさまざまですが、アレルギー表示義務のある特定原材料7品目と表示が推奨されている特定原材料に準ずる21品目に含まれるものが多く、加工食品を選ぶ際にも注意が必要です。

特定原材料8品目

特定原材料に準ずる20品目

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの症状は摂取したアレルゲン（原因となる食品）の種類や量により、軽度の症状からアナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状までさまざまな形で現れます。

皮膚症状	じんましん、かゆみ、紅斑（こうはん）、腫れ、湿疹
粘膜症状	充血、瞼の腫れ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、口の中や喉・舌の違和感・腫れ
消化器症状	腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、血便
呼吸器症状	喉の違和感・腫れ、咳、喘鳴（ぜんめい）、呼吸困難、チアノーゼ
循環器症状	めまい、立ちくらみ、血圧低下、意識消失
アナフィラキシー	全身性のじんましん、気管支攣縮・呼吸困難、血圧低下、意識消失、重度の腹痛や嘔吐などが急速に進行

食物アレルギーの検査

食物アレルギーの検査には、皮膚検査、血液検査、食物経口負荷試験などがあります。
それぞれの検査方法の特徴やメリット・デメリットを理解し、医師と相談しながら適切な検査を受けることが重要です。

プリックテスト（皮膚検査）

アレルギーの原因と考えられるアレルゲンを皮膚に少量滴下し、その上からランセットと呼ばれる針で軽く皮膚をひっかいて、アレルゲンが皮膚内に入るようにする検査です。15～20分後に皮膚の発赤や腫れの程度を測定し、アレルギー反応の有無を判断します。検査結果がすぐにわかること、費用が比較的安価であることがメリットです。ただし、痛みを伴うことがあります。また、皮膚の状態によっては正確な結果が得られない場合もあります。

特異的IgE抗体検査（血液検査）

血液検査では血液中のアレルゲン特異的IgE抗体の量を測定します。特定の食品に対するIgE抗体の値が高いほど、その食品にアレルギー反応を起こす可能性が高いと考えられます。小麦、卵、牛乳、大豆、ピーナッツなどの主要なアレルゲンに加え、エビ、カニ、そば、魚卵、果物、野菜など、様々な食品に対するIgE抗体を測定することが可能です。採血のみで検査ができるため、乳幼児や皮膚の状態が悪い場合でも検査を行えます。

食物経口負荷試験

アレルギーの原因と考えられる食品を少量ずつ摂取し、アレルギー症状が出るかを確認する検査です。もっとも確実なアレルギーの診断方法とされていますが、検査中にアレルギー症状が出る可能性があるため、専門医のいる医療機関で慎重に行う必要があります。少量から開始し、徐々に摂取量を負荷試験ごとに増やしていくことで、症状が出る閾値を調べることができます。また、アレルギー症状がどの程度の量で発症するかを把握することで、日常生活での食事制限の目安を立てることができます。