乳児血管腫外来
乳児血管腫とは皮膚の表面や内部にできる赤いあざの一種で、未熟な毛細血管が増殖して発症する良性腫瘍です。見た目が真っ赤で、いちごのような色やふくらみから、「いちご状血管腫」とも呼ばれています。
生まれてすぐにははっきりしませんが、生後2週間ほどで赤いあざとして出現し、その後徐々に大きく目立つようになります。女の子に多く、日本人の1%前後に発症するとされています。生後5か月頃に一番大きくなり、その後は徐々に色が薄くなり、退縮していきます。
以前は自然に消退するため、特殊な例(顔面など整容的な問題が生じる可能性、巨大な血管腫など)を除いて、積極的な治療はされていませんでした。小さな病変は最終的には消失することが多いのですが、隆起が強い病変では最終的に表面がシワシワの皮膚のたるみとして残ってしまうことがあります。そのため、現在は飲み薬での治療が第一選択とされています。
乳児血管腫の原因はまだ完全には解明されていませんが、血管をつくる細胞が何らかのきっかけで過剰に増殖することで発症すると考えられています。特に未熟な血管細胞が増えることで、皮膚に赤みや盛り上がりが現れます。
見た目や症状には個人差があり、できる場所や大きさによって注意が必要な場合もあります。以下のような症状がみられる際は、早めの受診をおすすめします。
乳児血管腫の第一選択薬として「ヘマンジオルシロップ」があります。「ヘマンジオルシロップ」は乳児血管腫の増殖を抑え、早期に小さくする効果があります。成分はプロプラノロール塩酸塩であり、50年以上循環器の領域で使用されてきた薬です。高血圧や不整脈の治療薬として現在も使用されており、小さい赤ちゃんにも使用が可能な薬です。
副作用としては、低血糖、気管支攣縮、喘鳴、徐脈、低血圧などがあります。特に、低血糖は重篤な神経学的後遺症を残すリスクを伴うものであり、内服開始時に十分な説明をさせていただきます。
新生児期、乳児期早期の投与は血中濃度が高くなる可能性があります。特に、早産児はそのリスクが上昇することが予想され、安全性も確立されていません。したがって、早産児、低出生体重児や生後 5 週未満の新生児においては、治療開始時期を修正週数 5 週以降に遅らせるか、入院管理下での導入をお勧めする場合があります。
当院では、全例に事前の心臓スクリーニングを行い、低用量(0.5mg/kg/day)で開始するなど、慎重に投与を開始し、治療効果が得られる最低用量で維持するよう安全な治療プランを提案いたします。
必要に応じて皮膚科医とも連携しながら、治療経過をサポートしていきます。
血管腫の種類や大きさや、部位によって、自然に消えるのを待つか、治療の必要性があるか判断します。治療の適応があると判断された場合には、治療薬(ヘマンジオルシロップ)による治療のスケジュール、治療内容、副作用やその対処法、治療効果などについてお話をします。治療に関するメリット、デメリットを含め、説明を十分に聞いた上で、ご家族で相談し、治療のご希望についてお伝えください。
治療開始前に事前検査を行います。
事前検査:①心音の聴診 ②心臓超音波検査/心電図検査 ③心拍数・呼吸数測定 ④血圧測定 ⑤血糖値測定
検査で異常がなければ、ミルク哺乳後に院内でヘマンジオルシロップを内服します。
内服の1時間後、2時間後に①心拍数・呼吸数測定 ②血圧測定 ③血糖値測定を行い、副作用の出現がないか経過観察をします。検査までの待ち時間は、待合室での待機をお願いします。
2時間後の検査で問題なければ、ご帰宅となります。その後はご自宅で同じ量を1日2回哺乳後に服用します。
自宅での内服に問題がなければ、1~2週で内服量を増やしていきます。増量する場合には、再度院内でヘマンジオルシロップを服用し、内服の1時間後、2時間後に①心拍数・呼吸数測定 ②血圧測定 ③血糖値測定を行い、副作用の出現がないか経過観察をします。2時間後の検査で問題なければ、ご帰宅となります。その後は、ご自宅で同量を1日2回哺乳後に服用します。
自宅での内服に問題がなければ、1~2週で内服量を増やしていきます。増量する場合には、再度院内でヘマンジオルシロップを服用し、内服の1時間後、2時間後に①心拍数・呼吸数測定 ②血圧測定 ③血糖値測定を行い、副作用の出現がないか経過観察をします。2時間後の検査で問題なければ、ご帰宅となります。その後は、ご自宅で同量を1日2回哺乳後に服用します。
目標とする内服量になったら、その後は体重の増加に合わせて内服量を調整していきます。外来受診の頻度は1か月に1回程度になります。
6か月(24週)の内服治療で約60%が治療効果を実感できるとされています。治療の効果判定を行い、治療の終了を検討します